「戦争のない世界を作るきっかけに」~朗読劇に向けて

  去る3月28日、聖霊短期大学の演劇部の3人が土崎みなと歴史伝承館を訪れ、土崎空襲について学びました。

 このみなさんは、8月下旬に開催予定の平和を考える集いで、土崎空襲の体験証言(「佐々木久春 詩集」より)をシナリオ化し、朗読劇として発表しようと取り組んでいます。土崎空襲については、小学校などで学んだことがあったり、始めて知ったりと、それぞれ関わり方は違いましたが、動画、伊藤さんによる講話の視聴や、展示物を間近に見るなどして、空襲の悲劇を深く受け止め、平和への思いや祈りが伝わる朗読にしたいと決意を固めました。

 その思いなどをレポートとして届けてくれましたので、以下に転載します。是非お読みいただき応援をお願いします。上演の機会の詳細については、また後日お知らせします。

Iさん
 「今回の講話会は、戦争を経験していない私たちにとって非常に貴重なお話を拝聴できる機会となりました。
現代の若者からすれば戦争というものは過去に起こったことであり、あまり日常的に思い返したり深く考えたりすることのない出来事です。それでも歴史の中には確実に刻み込まれており、それらの先に私たちが生きているのだと改めて実感することができました。
 人は、戦争についてよく知らないままだと、遠い昔の出来事のように感じて忘れてしまいがちだと思います。しかし、そのままでは、いずれ同じ悲劇が起こらないとも言いきれません。実際に外国では戦争が起きていますが…だからこそ、より多くの人が、過去に起きてしまったことを決して他人事だと思うことなく、自分たちの未来に繋げていくことが重要なんだと思います。
 最後になりますが、この度は講話会に参加させていただき、ありがとうございます。土崎空襲について語り継いでいくことは、時には辛い思いをすることもあると思います。それでも今回のような講話会を開くなど、こうした活動を続けてくださっていることが本当にありがたいことだと感じました。
 朗読劇の脚本については、今回の貴重なお話を自分の中で整理し、自分の中にある構想と照らし合わせて向き合って考えていきたいと思います。」

Tさん
 「私は土崎地域に住んでいるので、小学校、中学校でもお話を聞いたことがありました。また、高校の頃にもお話を聞いていましたが、改めて話を聞き、改めて戦争や空襲の残酷さや悲しさを感じることができ、実物に触れたり動画や実際に聞いたりすることで当時の恐ろしさなどを感じました。
 今までは戦争について、歴史の授業などで習っても過去の話として、どこか他人の事のように感じていましたが、最近ではロシアとウクライナ、イスラエルなど他国でも戦争が起きていることをよくニュースで耳にするので、自分にもこのような事が起きてしまったらどうしたらよいだろうかと考えてしまいます。
劇ではこの時に感じたことを多くの人に伝え、戦争のない世界を作るきっかけになるようにしたいと思いました。」


Sさん
 「映像や実際に体験した話を聞き戦争の悲惨さを感じました。当たり前に感じている周りの人との日々も突然無くなってしまう可能性もあるということを感じることが出来ました。
 寝る際もいつ空襲が来ても逃げられるように防空頭巾や荷物をまとめてあり,気持ちの休まらない日常だったのかなと思いました。動きやすいモンペ等の服装に情報が細かく載った名札が付けられた服も話せなくても共有できる工夫がされていたことが伝わりました。供給される食べ物なども国によって管理され,戦争が長引くほど供給量も少なくなり栄養の足りない中、畑など重労働を行っていかなくてはならないことも分かりました。
 証言の中からも痛さや苦しさ,諦めといった感情が伝わりその光景を見てきた人達には記憶として鮮明に刻まれていることが分かりました。始まる瞬間も突然で40分もの空白時間は空襲が終わったのか,途中なのかも分からず4時間も続いた空襲の恐ろしさが伝わりました。沖へ逃げるのか,内陸側に逃げるのか,防空壕へ逃げるのかその瞬間を自分たちで考え選択しなければいけない不安さも伝わりました。
 高熱や鋭利さを持つ兵器は生身の人間には打つ手もなく絶望的な力だと改めて思いました。考え、道具を作ることが出来る人間だからこその力であり,たった一発だとしても多くの人に影響を与える凶器なため被害が大きくなる戦いだということが分かりました。
 今戦争が起きても情報が素早く伝わるようになった現代だからこそ終戦の知らせやそれぞれの地域の様子が戦いあっている国に伝わりやすくなっていると思います。終戦まで10時間前だったという土崎空襲のような事態にならないためにも早い判断を国がしてくれたらいいなと思いました。また,そんな攻め入った国も攻められた国もお互い消耗し合い,戦場になった場所も傷が付く戦争が起きない世の中になると良いなと思います。
 実際に戦争を体験したことがなく,命の危険を強く感じたことの無い世代はなかなか自分事と捉えられないかもしれません。流血やグロテスクさが段々と規制されている世の中ではどこか絵空事のような想像の中での物事のように感じるかもしれません。ですが実際に触れてみる,聞いてみるといったことは現実にあったことだと感じやすい良い体験になったと思いました。
貴重なお話をしていただきありがとうございました。」

土崎空襲を語り継ぐ 『土崎港(みなと)被爆市民会議』

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