11月17日、土崎港被爆市民会議は秋田市の沼谷純市長に土崎空襲犠牲者の名簿再調査に係る協力について要請を行いました。
市民会議からは「沼谷市長が8月14日の『2025年土崎空襲犠牲者追悼平和祈念式典』で行った協力表明をうけて要請を行うものです。犠牲者を明らかにするため、国や県へ犠牲者名の調査を『行政利用』で働きかけてもらいたい。調査を前に進めるために、市と市民会議の協議体を設けてほしい。」と前置きしたうえで、下記の6点について具体的に要請しました。
① 軍関係犠牲者に関すること
空襲当時に秋田市に駐留していたことが判明している部隊に関し、各都道府県などが保管している「戦没者名簿」の閲覧を通して、空襲犠牲者の情報集約を要請します。
② 民間人犠牲者に関すること
民間人犠牲者の特定のため、市が保有している公文書などの記録の確認を要請します。
③ 「造船所」の実態に関すること
空襲被災地周辺にあったとされる「造船所」に関する資料の提供を要請します。
※①,②、③の詳細は下掲の要請書の画像をご参照ください。
④ 情報受け付け窓口に関すること
土崎みなと歴史伝承館での「犠牲者名簿」の常時公開と、犠牲者に関する情報の受け付けを同館で行うことを、条例に基づく業務と位置付けることを要請します。また、情報が寄せられた場合、当会議に速やかに伝達することを要請します。
⑤ 調査の継続と伝承に関すること
空襲犠牲者の実態解明と空襲の事実を次世代に伝承するために、今後も継続的に当会議と連携することを要請します。
⑥ 爆撃目標地点を示す標柱等の設置に関すること
旧日石秋田製油所(現:ENEOS㈱秋田油槽所)は、日本最後の空襲という歴史的事実を物語る場所です。爆撃の目標になった地点であることを、実感をもって市民に感じてもらうことが記憶の継承につながるものといえます。市として爆撃目標地点であることを伝える標柱・案内板等を設置することを要請します。
以上の要請に対し、市長からは
・できることはしっかりと行う。
・「①軍関係犠牲者に関すること」は、秋田県に対して情報提供を求めていきます。
・「②民間人犠牲者に関すること」は、市が持っている公文書を調査します。
・「③『造船所』の実態に関すること」は、市が情報を保有しているかを含めて確認します。外国人犠牲者に関すことを、出身国に照会することは実際には困難ではないか。
・「④情報受け付け窓口設置に関すること」「➄調査の継続と伝承に関すること」は、これまでも実施してきたことであり、今後も協力をしていきたい。
・(「➅爆撃目標地点を示す標柱等の設置」は、明瞭な回答をしませんでした。)
・(協議会の設置に関することについては、回答をしませんでした。)
との回答が示されました。
〔市民会議〕
前記の回答を踏まえ、特に以下の点を再度強調して要請しました。
・県内出身兵士犠牲者は市民会議でもある程度把握していますが、兵士犠牲者の多くは県外出身者です。出身が群馬県と分かっている海軍兵士や、50人程度が犠牲となった部隊名情報もあるので、行政利用をして他県に照会してもらうことはできませんか。
・爆撃目標地点を示す標柱等の設置を求めたい。
〔沼谷市長〕
・他県への照会をしてほしいとのことですが、マンパワーもあるのでまずは秋田県に情報提供を求めます。秋田県が対応困難であれば、他県に照会をすることも困難となるのではないか、秋田県の反応を見たい。県内他市町村についても照会は予定していない。
・(「➅爆撃目標地点を示す標柱等の設置」は、回答をしませんでした。)
との回答を得ました。
再調査について市民会議としてやれるだけのことを進めてきましたが、一市民団体の力では限界があり、市長に要請したものでした。市長からは、市として「できることをしっかり進めていく」旨の回答を得る事ができ、市民会議としては大きな前進ととらえています。今後、市当局などとの協力関係を強めながら、一人でも多くの未詳の犠牲者の方々の氏名を確認し、追悼できるように取り組みを進めていきます。
なお、この要請活動にはメディアの多くが関心を寄せ、4新聞社、2テレビ局が取材に駆け付けました。
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