平和への思いをポスター制作に込める~高校生の思い2023.04.29 02:51 去る4月20日(木)、秋田公立美術大学高等学院の2年生10名が土崎みなと歴史伝承館を訪れ、土崎空襲について学びました。これはコース別実習、「平和」をテーマとしたポスターをデザインするという課題に迫るための学習の一環で、事前に各自が調査・学習しレポートを作成したうえで臨んだものでした。 DVD映像「語り継ぐ土崎空襲~終戦前夜の悲劇」を視聴し、土崎空襲について概観するプレゼン、そして伊藤津紀子さんの体験証言を聞いた後に、座談会を行いました。そこでは生徒の皆さん全員が、ここまで学んだことや今感じ、考えていることを話してくれました。 「もし自分の育った地域が攻撃を受けていたら、自分は今いなかったかも知れないと思うと、怖く一層身近に感じた。今ウクライナでひどい戦争が起きているのに、自分たちの日常生活が普通にあるということに変な感覚がある」「食べ物や服装など戦争当時の時代と今とは全然違い、実感することができない。寄り添おうとは思うけど分からないし、不思議な感覚がする」 「当事者じゃないから、爆撃のときの光や音などの情報はないし理解することは難しいが、理解しきれないとしても理解に近づいていきたい」 「映像を観て本当に怖いし、戦争は絶対ダメだと今は強い気持ちになっているが、持ち続けていくことは難しいかな」 「ウクライナの戦争は自分とは関係ないことだと感じていたし、自分は平和は大切だと思ってもみんなや国が動かないと終わらないだろうなと思っていた。でも、ポスターで発信することは大切だし、平和な世界に一歩近づけると思う」 「爆弾の破片を実際にさわってこれが飛び散って人や建物に突き刺さったり、壊したりするすることを想像すると、それだけで怖く痛々しく感じる。脇腹に刺さるなどした人は想像できないくらいつらかっただろうな、と。ただ、日本が戦争に負けて日本=被害者とまとめるのは違うと思った。日本が戦争を始めたのだし、早く終わらせられたのに止めなかったのだから」 「東京大空襲や原爆の体験をネットで調べた。ある日目覚めた時、思い出して怖くなりトラウマになったと思った。実際に被害に遭った人たちは本当に苦しかっただろうな。今ウクライナで起こってることはもっとひどい。何とかしなくてはならないと思うが自分だけじゃ何ともできなくてもどかしい」 「ウクライナで今実際に起こっている戦争は、日本も無関係ではないと思う。ちゃんと向きあっていかなければならない」 土崎空襲の悲劇をくり返したくないという思いと、ウクライナ戦争の現実との狭間の中で怖さやもどかしさ・迷いを感じながら、でも何かできるのではないかと模索している率直な思い、そしてポスター制作にかける思いを口々に語ってくれました。 最後に指導されている澤田弦吾先生が、「みんなの話の中で「分からない」という言葉が印象的だった。しかし、分かってはいけない。それはすでに戦争を体験しているということだから。体験しないようにどうしたらよいか、が大切。その思いを文章や音楽で伝えられる人はそれぞれ文章・音楽で伝える。あなたたちはイメージで伝える。そのために土崎空襲や戦争で何があったか、誰が傷ついたかなどもっと勉強して分かろうとしなくてはいけない。そして創造力を働かせ、誰に伝えるかを考えてポスターというイメージで創造力を伝えていくことが大切。戦争を絶対に体験してはいけない。これからの世代、これから生まれる子供たちが体験しないように何ができるかを考えていきましょう。」と結ばれました。 ポスターは来年の県展に向けて制作し出品する予定です。その後、各自が作品を見せながらその思いを発表する機会をもちたいとのことで、大変楽しみです。実に実りの多い講話会となりました。 さらに、事後の感想文をいくつか掲載しますのでお読み下さい。 ・小さい頃は戦争のことから避けてきました。怖いものだと思い。歴史は授業でしか知ることが無かったです。周りも小さい子ばかりだから、怖い話はしなかったのです。今、私は17歳になりました。この授業はコース別実習ですが、日本の歴史を小さい頃より知れている気がします。怖いこと、つらいことを知らなくてはいけないと思い、資料を見てきました。分かりますなんて言っちゃいけないと思います。資料だけで気持ち悪くなっている自分が、体験もしていない自分が、体験した人のつらさを分かれません。ですが、自分は体験したくない。つらくいつでも命が無くなってしまう地に立ちたくないです、そうならないように、自分にできることをしていこうと思いました。自分のためにもできることをして生きていこうって思います。今から生きていく日本のことを、もっと知っていこうと思いました。 ・面と向かって話している目の前の人が、実際に想像するだけで苦しくなるような体験をした。人の奥にとんでもなく大きく恐ろしいものがあると思うと、不思議な気持ちになった。伊藤さんを通して、パイプのようなものにして戦争を見た。今まで他人ごとだと思って戦争の話を聞いてきた節があった。でもそれは無駄ではなかったと思った。私たちの中に確かに反戦の心は根づいていて、現在のロシア・ウクライナに戦争はダメだと声を上げていることができている。小さな活動も、私が今日聞いたことも、無駄ではない。未来につながると思った。 ・「歴史は繰り返す」とよく言われるし、また同じように残酷なことが起こるかも知れないけど、せめてそれにあらがうことが大事だなと思った。そしてあらがい続けるためには歴史を伝えていくこと、伝え続けていくためには私たち人間特有の能力である「創造力」を余すことなく働かせるのが必然だと思った。 ・空襲の恐ろしさ、体験者の思いや記録を知ることができ、戦争は絶対に起こしてはいけないし、体験したくないとおもいました。私は授業の課題がきっかけで土崎空襲や戦争の恐ろしさを知りました。同世代の人、もっと小さい子供たちは戦争のことも、土崎空襲のことも、あまり知らないこともあると思うので、これから私の得意なことやポスター制作によって平和な世界へ一歩近づけるように、そしていろんな人たちに戦争への認知をしてもらい、平和へつながってほしいと思います。今回は貴重なお話を有難うございました。 土崎空襲を語り継ぐ 『土崎港(みなと)被爆市民会議』フォロー2023.06.16 02:24港北小学校で出前講話会~「戦争はやっちゃいけない!」2022.12.26 03:29空襲展閉じる~多数のご来場、感謝いたします0コメント1000 / 1000投稿
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